忍者ブログ
事業モデル、為替、経営管理を取り上げる
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

事業部制とかの話ではない。
部門別の予算実績管理についてだ。

予算管理が機能していない会社は、まず儲からないと思って間違い
ない。なぜなら、全社思考がまったくできないからだ。資源が最適配
分されているかどうかも疑わしい。

それでは、予算管理が機能していないとはどういう状況なのかと言うと、
月次の予算執行見通し精度がシッチャカメッチャカな状態を指す。


例えとして少しどうかと思うが、イメージ優先と割り切って例示しよう。

円単位の改善を積み重ねて掛け算でパフォーマンスの向上を目指し、
固定費の予算については爪に火をともすケチぶりで努力をする工場
がある一方で、ストレッチな販売目標に届かないから、固定販促費や出
張旅費を減らして目標利益の帳尻を取ろうとする営業部門があるとする。
部門別予算は、年次予算で編成されているため、工場では設備機械の
修理をしたいと思っているにもかかわらず、予算が足りない状況だ。
見立てでは2,000万の出費だ。

結局、その期は目標利益を6,000万過達した。
工場は予算を使いきり、修理できなかった。工場の予算管理者は胸をな
でおろした。予算枠を守ったのだ。設備は、まだなんとかなるだろうと思い
ながら。営業部門は、販売減による収益減を出張費と販促費の抑制で
乗り切り、目標収益を過達した。営業部門長は、自分のマネジメントぶり
を喧伝した。

その後、翌期に工場で設備が壊れた。一ヶ月稼動が停止した。
稼動停止月は、5,000万円の赤字となった。

結局のところ、その過達原因となる費用減らしを修繕費に充当できれば、
稼動停止の憂き目を見ることはなかったと言える。


上記は極論だが、適切な予算管理による資源の再配分が機能していれば、
稼動停止を回避できたはずだ。これは、年次予算について総枠管理すれば
良しとする昔ながらの組織風土や、何があろうとも総枠を超えてはならない
という硬直思考、適切でない予実差を糾弾しない管理体制に問題がある。


営業部門は、販売と費用抑制の見通しを適切に織り込むべきだった。
工場も我慢せず、全社予算の余剰がないか確認、あるいは予算の再調整を
要請すべきだったのだ。何も追加投資しようという話でない。既存の設備が
維持できず、場合によっては製造できなくなるリスクは、きちんと上層部に
伝えるべきだったのだ。

シッチャカメッチャカぶりの話としてはわかった。それでは、どう管理すれ
ば全社思考(資源の再配分)ができるのか。


それは、部門別の予算管理状況を評価し、稚拙な見通しを許容しない
ことだ。最新の見通しと該当月の実績を対比すると、部門別で差異金額
が出る。全社差異金額を100とし、部門別に差異シェアを表示する。
縦軸を差異シェア、横軸を差異金額とし、散布図を作るのだ。
そうすれば、乖離率と影響金額の双方から全体影響への度合いに
ついて見える化できる。

月々の管理で、慢性的にひどい部門へは予実の乖離について改善を
求める。報告の場で槍玉に挙げればよい。各四半期末の乖離率低減は
必須であるし、緊急対応時の資源再配分に向けた調整もできる体制に
持っていく必要がある。

各部門の予算担当者へは、成績表代わりに差異シェア、乖離率の
散布図を一覧で表示させる。そうすれば、自部門の管理状況が
どの水準なのか把握することができる。これを通じて全体的な
レベルアップを図る。

ここで1つ気をつけなければならないことは、部門の管理不能差異だ。
俺は従属的費用と呼んでいる。

従属的費用というのは、上流でのワークが当該部門の予算見通し
トリガーとなっている費用(販売前提台数や製品導入タイミングなど)の
ことだ。見通しと実績の差異については管理不能差異とみなす必要が
ある。上記の乖離率と影響金額の要素に含めてはいけない。

たまに、予実差はあってはならないという話を聞くが、それは間違いだ。
見立ての甘さで乖離が生じることは避けねばならないが、本線としては、
最低の予算執行で最高のパフォーマンスを発揮するのが理想である。

拍手[6回]

PR
コメントを書く
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
コメント   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード
 HOME | 17  16  15  14  13  12  11  10  9  8  7 
忍者ブログ [PR]