忍者ブログ
事業モデル、為替、経営管理を取り上げる
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ルネサスは、NEC、三菱電機、日立製作所から分社化したNEC
エレクトロニクスとルネサステクノロジーの経営統合によって
2010年4月に設立された半導体の開発・製造・販売会社だ。

統合前の2008年では、ルネサスは売上高世界7位、NECエレは
世界10位で、統合により世界3位の半導体メーカーが誕生する
ことが話題となった。また、東日本大震災では、自動車向け
マイコン世界シェア4割、国内メーカーも採用しているということで、
国内自動車メーカー各社が総出で技術者を派遣し、再稼動に向
けた支援を行った事が記憶に新しい。この高シェアは、品質も
さることながらメーカー別にカスタム仕様で出荷していることも
一因だったように記憶している。

今回の工場半減は、典型的な赤字部門の切り捨てだ。俺が気に
なっているのは、その後の方向性(戦略)である。


カスタム仕様というのは、その使い勝手の良さから、ある種、
競業他社に対する障壁として機能する。それは強みである。
しかしながら、その取引形態はというと、1対1の取引となる
ため、価格決定や市場支配力を保てないといった弱みがある。

思うに、カスタム仕様は、技術が発展進化していく過程におい
ては積極的に要望に応えるべきだと思う。なぜなら、いろんな
要望に対応していくことは、自社の技術競争力を鍛え上げる
ことにつながるからだ。

一方、技術面で成熟してきたのであれば、業界内シェアにも
よるが、標準化を目指すことも一手だろう。カスタム仕様と汎
用品とでは、コスト効率が全然異なってくるからだ。値段をこれ
だけ安く作れる、といった提案型ビジネスを積極展開すれば良い。

このように書くと、「話としてはわかる。だけど汎用品化には
リスクがある。製造設備を整えて、品質管理のノウハウを吸収
されればキャッチアップされてまずくないか?」、といった意見
が出てくるだろう。

この意見に、俺は反論しない。だが、賛同もしない。この否定
的な意見は、自社製造が前提になっているからだ。少し考えて
みて欲しい。今や、供給能力は世界中に広がっている。

上記のような方向転換は、経営陣の仕事である。業界が置かれ
ている状況、自社の立ち位置を考え、最良のビジネスモデルを
構築・検討する責務が経営陣にある。過去の成功モデルの継続
だけだと必ずどこかで行き詰る。

コモディティー化した業界では、自社設備はマザーレベルのも
のがあれば十分で(場合によっては省ける)、製造請負会社に技
術供与を行い、そこの販売数量に応じて収益を獲得するビジネス
モデルが究極の勝ちパターンだと俺は考える。組む相手は、品質
と価格のバランスにもよるが、競合を駆逐できる会社が良い。

拍手[2回]

PR
コメントを書く
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
コメント   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード
 HOME | 11  10  9  8  7  6  5  4  3  2  1 
忍者ブログ [PR]