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事業モデル、為替、経営管理を取り上げる
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先日、欧州系格付け会社フィッチ・レーティングスが、日本政府の債務残高
比率が高いことを理由に、日本の長期国債の格付けを「シングルAプラス」
へと引き下げた。

このニュースを聞いたとき、俺は為替は円安になると思った。しかし、円高
へと向かい、現在に至っている。

円安になると思っていたロジックはこうだ。
円高のため、国内では株より債権に資金が集結するはずだ、からスタートし、
国債の格付けが下がる→国債が売られる(外資含む)→外資はキャシュポジ
ションに手仕舞い(円売り外貨買い発生)→円安化というものだ。

結果論で言えば、格付けの引き下げ以上に、ユーロ危機インパクトが強かった
から、円高が進行したと言える。(各指標云々は割愛)

とはいえ、もっと納得のいく理由付けがほしい。


俺の推論はこうだ。
国内金融機関と海外金融機関、双方の資金の流れで説明する。

日本国内で見れば、国債の購入層は銀行等金融機関中心だ。彼らは、確実に
儲けるべく国債で資金運用する割合が高い。一方、国債の運用比率が高いと、
暴落した場合に目も当てられないことになる。運用先を国債以外にしないと
リスキーだ、といった番組を見たことがある。その背景には、国内に視点を
向けると、収益面で見てあまり魅力的な投資先がない(国内需要は頭打ちで
先行きが暗く、現在グローバルも先進国は景気が減退しているため、輸出に
よる収益増大型の優良な投資先が見つからない)というのがある。このため、
海外投資が自ずと進展する流れが根底にあるはずだ。

これを踏まえて考えると、EUR安が急加速した場合、海外投資で収益を上げて
いたとしても、いったん円換算させて利確を行う、あるいは損切りする、と
いった行動が起きるはずだ。なぜなら、円高が加速すればするほど、円ベース
で収益が目減りするか損失拡大してしまう。彼らの運用資金は日本国民からの
投資がメインであり、最終的に円払いが要求されるため、為替差損はまずいのだ。

5/6のフランス・ギリシャのダブル選挙で、両国の財政規律派が破れたことを
機に、ユーロ危機の収束が遠のき、日本の金融機関が運用している短期資金
が日本へ逆流したというのが、円高の理由その1になるのではないか。

あとは、いわずもがな、海外金融機関の資金逃避だ。
金融機関は、決算時や配当時に運用益を確実に出さねばならない存在だ。
このため、世界中の商品から株式まで積極投資を行っている。この投資は、
USDか現地通貨ベースで行われるはずで、最終的にはその企業が属する国の
通貨に換算され、資金の出資者へ払い戻さなければならない。

欧州危機により、短期的に見てEURベースだと為替リスクの高まりから、USDか
JPYに資金逃避したことは想像に難くない。しかし、日本の株式に投資するか?
ある程度はする・・・と考える。

円高になれば株式価格は下落する⇔円安になれば株高となる(外貨転換する際
収益目減りしてしまうが)といった構図はあるものの、それはある意味、双方
でリスクをオフセットできるため、EURを保有するよりも合理的な行動といえる
からである。もちろん、確実な期間利益を見込める日本国債への投資も行われ
るだろう。

これら双方の動きがあったのであれば、日本の国債格付けダウンは鼻くその
ようなものであり、円高のさらなる進展は至極当然なもののように思える。

グローバルで見た資金の流れを推測することは難しい。
しかしながら、為替が大きく変動したとき、どういう理屈でこの事象は起きて
いるのか自問自答することは、大切なことだと思う。

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