文章で書くとありえない長さになるので、時系列で羅列列挙。
自己採点80点くらいのまとまりか。書き足りないものは、
雇用なき景気回復についての言及であったり、米国内製造
拠点回帰であったり。米国のパートタイマー時給は8ドルと
いうのをNHKスペシャルで見ており、それなら米国内で
ペイするよなと思った記憶がある。
今後の為替動向だが、当面円高持続しか思いつかない。
結局のところ、現状のスペイン・イタリアリスクの為替織り込みは
どのレベルなのかという話と、ネクストステップとしてのフランス
に飛び火した場合、ユーロはどこまで下落するのかという読みの世
界である。泥沼シナリオで91円~93円か。
年初に個人予想した今期(4月~3月)の為替レートは、
ドル78円、ユーロ101円(96円~106円レンジ)である。やや外し
気味な感じだ。ユーロ安の進行速度が予想を遥かに上回るペース
となっている。ユーロの為替は、フランスへのリスク懸念飛び火
(格下げがあったときの為替)を意識的に見ており、脳内インプット
は98円があり、一時的なオーバーシュートで96円まで進行、その後は
売り方買い方せめぎ合いでじりじりか、と解釈して、あとは期待感で
上下ブレブレと読んでいた。文字にするとかなりアバウトだが苦笑)
<時系列説明>
1990年代後半~2000年後半 米国IT(.com)バブルの謳歌と崩壊
2001年・・・ITバブル崩壊後、FRBが金融機関の救済や景気下支えを
目的とした利下げを実施。11回にわたる利下げで金利6%→1%台に。
2001年~2006年 低金利政策を受け、米国住宅バブル発生。
構図は、米国の銀行は資金を低金利で調達→担保価値の高い住宅
ローン貸付(プライムローン)は安全で手堅く儲かる→住宅ローン会社も
熱心に住宅ローンを勧める→安全顧客はどんどんマイホーム入手→
マイホーム希望層の拡大→住宅価格の高騰開始→値上がり前に
買わないとマインドの醸成→住宅価格さらなる高騰→そういや
住宅価格って下がらないよね?投資うまくね?→新築だけでなく
中古住宅価格も高騰開始→住宅バブル。
保有住宅を担保としたキャッシングで身の丈に合わない個人消費熱が
高まる→世界中が好景気に。
住宅ローン会社は、貸付先をさらに求める→リスキー顧客に対し、
住宅高騰神話を背景にローン会社はサブプライムローンを勧める
→このローンを証券化することを金融機関が思いつく→ローン会社
からローン債権を買い取る(住宅価格が上昇するならリスクは
相殺できるという読み)→ローン会社は資金をテコにサブプライム
ローン推奨加速/金融機関買ってくれるもんね)→金融機関は金融
商品(不動産証券)を作り、投資家に販売開始(CDSにより投資家
は保護されるという幻想)⇔銀行はCDS手数料収入で荒稼ぎ
→欧米の金融機関を中心に高利回りな証券ということで投資熱
が高まる→分散効果でいくつか焦げ付いても大丈夫だろ、住宅
価格も上がるし、なロジックで高格付け高利回り商品が誕生する。
2004年~2006年・・・米国の景気は堅調、雇用環境も改善したとして、政
策金利引き上げに転じる。1%台→5.25%まで上昇。一方日本は
ゼロ金利政策を維持→円を借りてハイリターン投資する円キャリー
トレードが資金運用トレンドとなる→円安加速。
米国の利上げは住宅ローン金利にも跳ね返る→住宅価格の上昇
が利上げとともに減速していく。
2004年・・・アテネオリンピックが開催される。ギリシャの借金が注ぎ込まれる。
2007年・・・住宅価格の下落が開始し、サブプライムローン危機が表面化する。
サブプライムローンはローンを組んだ直後は低金利であり、3年後から高
金利となる商品だった。
ローンを勧めるときの常套文句は、住宅価格が上昇したらお金持ち
になるのだから、そのとき住宅価格を担保に低利息ローンに借り
換えれば問題ないですだった。利上げがあいまって、ローン返済
できず住宅差し押さえ多発→さらなる住宅価格の下落といった様相
となり、ローン貸付の焦げ付きも急拡大していく。
2008年3月・・・大手証券会社で財務基盤に問題はないと繰り返し発表して
いた米国のベアー・スターンズが、サブプライムローンの焦げ付き
により事実上の破綻。ドル急落。ドルの信認が揺らいだ状態が
続くならということで、ユーロ機軸通貨説ちらほら。市場の資金が
商品に大挙流入。7月に原油価格は147.27ドルまで急上昇。
2008年・・・スペイン住宅バブルに警鐘。1998年以降の10年で3倍まで高騰。
2008年9月15日・・・リーマン・ショック(欧州にも飛び火→欧米で失業率上昇)
スペイン結構やばくね?
2008年12月・・・FRBがFF金利の誘導目標を年0~0.25%に設定、ゼロ金利
政策を実施。同時期のECBは、10月まで4%台だった金利を徐々に
緩和。日米欧の金利差が縮んだことで、円キャリートレードのまき戻し
が起こり円高に拍車。サブプライムローン危機による需要低迷が意識
され、原油価格が30ドル台前半まで落ちる。
2009年9月25日・・・民主党 藤井財務大臣がリーマンショックを受けた金融
サミットで、円安政策採らないと発言。ドル・ユーロに対しともに円急騰。
2009年10月・・・ギリシャで政権交代。新与党が国家財政の粉飾決算を暴露。
それまで財政赤字をGDP比3.7%と公表してたのが実際は12.5%
であり、ギリシャ危機が意識される。
2009年11月27日・・・ドバイショック(英国のHSBCホールディングスからの
融資が目立ち、欧州金融を中心に中東投資の焦げ付きリスクが懸念。
当時は米国の低金利政策が長期化するという観測から、ドルも安含
みで推移。結果、円の独歩高に。ドルキャリートレード。
2009年12月・・・ギリシャの長期格付けがA-からBBB+に。ユーロ売り始まる。
2010年・・・欧州全体でソブリンリスクが意識される。12月時点でのPIGS債務残高は
2兆2810億ドルあり、ドイツは5,127億ドル、フランスは4,102億ドル債権保有。
つまり、PIGSでデフォルトがあればドイツ・フランスの巨大銀行はともに大きな
打撃を受け、欧州全体へのドミノ倒しが起こることが意識された。
参考までに、上記の次はイギリス3,700億ドル、アメリカ3,529億ドル、
その他ユーロ圏2,811億ドルであり、わが国日本は520億ドルだった。
2011年3月11日・・・東日本大震災。保険会社の国内支払いが嵩むことから円資金
需要の高まりや、内需復興関連期待、ギリシャ危機の資金逃避先など
により円高進行。76円25銭の最高値を更新。その後、日米欧の協調為替
介入でいったん80円台まで値を戻す。
2011年8月・・・米議会の連邦債務上限引き上げをめぐる駆け引きをめぐり、米国債の
デフォルトが懸念される。当時、米政府は国債の利払い資金が枯渇しており、
新たな借り換えを実施する必要があった。最終的には、財政赤字削減策の
実施と引き換えに上限引き上げが容認される。しかし、一連の動きを受けて、
格付け会社S&Pが米国の長期信用格付けをAAAからAA+に引き下げた
のが8月5日。これを受けドル急落、円高局面に。
2011年9月・・・スイスが対ユーロ相場に上限を設け、為替介入を断固継続する旨発表。
2011年10月31日・・・75円32銭の戦後最高値を更新。日銀砲で79円55銭まで戻す。
2011年12月・・・欧州危機解決に向けたEU首脳会議を前に、S&P社がユーロ加盟国の
国債格付けを引き下げ方向で見直すことを発表。会議は期待外れに終わる。
年末、フランス国債の格付けダウン観測が出てユーロが売られ、100円40銭に。
(1月13日にフランスを含むユーロ圏9カ国で国債格下げが発表される)
2012年・・・欧州危機の懸念でユーロ売り⇔解決期待感でユーロ買いの繰り返し。
5月、フランス選挙でオランド当選。欧州財政改革に不透明感が漂い、
ユーロ売られる。
イタリア・スペインの10年物国債利回り高騰。国債買い入れを要請する
ことに。(7%を超えると複利計算10年で、利払い負担が元本相当となり、
借り換えは自殺行為となるため実施不能。その一方で、支払い原資の
資金が尽きたらデフォルトに陥るという八方塞がり状態に)
7月、スペインの地方財政が悪化したということで、中央政府に支援申請。
国自体に余裕がなく、EUからの支援を取り付ける大前提の財政再建実現
可能性の後退懸念が浮上。スペイン銀行に1,000億ユーロ出す話も方向性
どまりで具体的でないし、ということでユーロ売られる。
2012年9月12日・・・5,000億ユーロの欧州安定基金設立を定めた条約がドイツ
憲法に照らし合わせて合憲か否か判決が下る。(目下の焦点)