リーマンショック以降に起こった派遣切り騒動その後、国内雇用に
改善の兆しが見受けられない。非正規社員の割合が増加しており、
仕事にあぶれている状況だ。
これに対し、派遣切り対策で3年継続雇用すれば正社員を義務付ける
法案を立てたが実効性が挙がっていないだの、正社員以外は社会的
にキャリア形成として認められておらず、雇用の流動化も進んでい
ないから正社員は固定化され、雇用循環しないのだといった事が記
事化される。
どの批判も正しい。だが、具体解決策を提示するまでに至っていない。
俺は、事の本質は、やはり政策面の弱さにあると思う。
要するに、日本国内で経営者が雇用を増やしたいと思えるインセン
ティブをどう政策立案するかだろう。
いろいろと思うところはあるが、今回は非正規雇用の正社員化に
焦点を絞って考える。
経営者視点で考えると、非正規のメリットは、切れる(労務費を変動
費化できる)ことにある。正社員の場合、簡単に労使関係を切れない
ので、環境がマイナスに急変すると、収益面で大きな制約条件になる
というのが基本路線だろう。
本来的には、環境急変に耐えうる事業構築も経営陣の仕事に含まれる、
というのはひとまず脇に置くとして、政策面でどうサポートすべきか。
俺の考えはシンプルだ。税制面で優遇措置を施すことで、環境改善の
後押しを実現できると考える。
具体的には、国内で正社員を雇用した場合、その労務費について、
税務上2割増し/3割増しで損金参入を認めるのだ。これにより、国内
雇用を維持しつつ収益を上げさえすれば、法人税の実質軽減となり、
企業にとっては成長に向けた投資に資源を割り振ることが可能となる。
そうなれば、安易な非正規雇用にするか、正規雇用で税優遇措置を受
け取るか経営者は真剣に考えるはずだ。特定世代の雇用を増やし
たければ、世代を変数化して税優遇措置を図れば良い。
法人税の軽減は一時的に生まれるものの、全体で見れば正規雇用化に
よる乗数効果のほうがはるかに上回ることが予想される。正規雇用増
によるメリットを取り込めばトータルで見れば税収も増加するだろう。
生計が安定すれば、少子化対策(国内の将来需要)の改善にも、いく
ばくか寄与できると思う。
今日は取り上げなかったが、企業の海外移転も政策面の弱さが真因だ。
なんとも情けない話である。