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事業モデル、為替、経営管理を取り上げる
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経営計画は、既存の事業基盤をベースに考える。事業基盤が
制約条件となり、そうせざるを得ないのだ。

新規事業計画は違う。
最大の違いは、ビジネスモデルの構築が存在する点だ。

ビジネスモデルの基本構造は、以下のとおりだ。
・売上獲得モデル
・限利モデル
・投資収益モデル
・キャッシュフローモデル
・オペレーションモデル

これらを総合的に組み合わせ、どのコンビネーションが最適なのか
検討・判断する必要がある。

このほか留意事項として追加するとよいものは、
投資収益モデルに税優遇措置の獲得検討を入れるだとか、
オペレーションモデルに関税障壁の回避検討を含めるだとか、
そもそも論としてのカントリーリスク評価や進出拠点の気候・災害リスク、
インフラリソースの信頼性評価(停電するしないの話)だろう。

それではこれより、それぞれのモデルについて簡単に述べる。

売上獲得モデルは、市場の有無のことだ。
市場の有無とは、自社が提供するサービスに対し、引き合いがどれだけ
あるのかという話だ。

言っちゃなんだが、売上獲得計画は、基本的に狙い通りにならないと
考えた方が良い。だからといって、計画を立てない事には事業計画が
立てられないので、最も確からしい仮説を組み立てる必要がある。
前提条件や定量化できる数値を立てることで、実行フェーズでの
差異の要因分析やリカバリー策検討を行えるようになる。

それでは、具体的に確からしい数値をどう組み立てていくのかというと、
まず最初にすべきことは、商品を実際に市場に持っていって市場の味利き
をすることだ。売上獲得モデルの原型を作るところから始める。テスト
マーケティング的アプローチといえる。

事業の持続性についても事前に検討評価する。この取り組みが、過渡期の
金儲けに過ぎない話なのか、市場を作り出す話なのか、市場を横取りする
話なのかで投資する金額レベルが変わってくる。戦略策定、モデルの原型
(仮説シナリオ)の情報収集、モデル化という流れである。
B2Bであれば、契約期間や違約金規定の契約盛り込みもモデルに含める。
売上減リスクの歯止めは、事前検討に組み込むべきものだ。


限利モデルは言葉通りだ。後述するオペレーションモデルで、若干補足
する。


投資収益モデルは、収益性に見合う投資計画か検討評価する話である。
売上獲得モデルと銘打っても、所詮仮説だ。とはいえ、その仮説を前提に
投資金額のレベルが妥当かどうか事前検討する必要がある。自製か外注
かの検討はこの範疇に含める。自己所有の土地を活用する場合、投資に
含めず経済計算する人がいるが、それは誤りである。スタートアップは、
土地もない資産もない所から始めるものなので、そこも仮想的に投資として
扱わないと、低い目標設定になりかねないので注意が必要である。

実際にスタートしたら、3ヶ月後、半年後、1年後、3年後とマイルストーン
管理する。事前に許される失敗の範囲を設け、初期投資をその枠内で管理
するアプローチは有用だ。マイルストーン管理と併用することで、撤退か
継続か線引きすることも可能だが、辛抱のしどころか撤退するかになると、
経営判断となる。


キャッシュフローモデルはかなり重要である。しかしながら、ともすれば
見落とされてしまう要素である。(業績評価が利益率や利益額に偏重して
いる会社はよく見落とすので要注意だ)

キャッシュフローは、初期投資、月々の営業収支、金融収支で構成される。
キャッシュフローの黒字を継続できなければ、資金繰りに窮し倒産する。

設備投資資金が巨額であれば、リースバックしてキャッシュを作り出すべき
なのか、リースバック手数料と借入利息の経済性を比較検討すべきなのか、
事業スタンスに合わせて決定する。製造業であれば、物流・在庫管理の最適
化も焦点となってくる。在庫管理とキャッシュフローについては、ビジネス小説
の「ザ・ゴール」や「ザ・ゴール2」を読むと様々なヒントが得られて良い。


オペレーションモデルはシンプルだ。固定費が月々いくらなのかという話だ。
限利×販売数量でオペレーション費用をペイできるか検討する。ペイできな
ければ、オペレーション費用の変動費化検討や投資金額の低減検討を行う
必要がある。

ここで一つ注釈を加えるとすれば、減価償却費や直接労務費はオぺレー
ション費用(固定費)に含めるべき要素である。

製造業で、減価償却費を製品別に配賦し、管理会計上で製品別限利の控除
項目に含める話を耳にすることがある。また、直接労務費は製造原価に
直課するということで、限利控除項目に含めている話も聞く。

まず、製品別に配賦される減価償却費の愚かしさについて説明しよう。
販売数量という前提条件(独立変数)が変動すれば、製品1個あたりの減価
償却費実績も変動する。換言すれば、従属変数ということだ。

そもそも、製品別の収益性分析は、営業部門に対し、黒字/赤字の概算ライ
ンを伝える機能が一義的にある。いわば、値引きに関する意思決定権限を
営業現場に委譲するための手法である。それをどこかで勘違いして、配賦
減価償却費を管理会計に組み込むと、収益が都度変動してしまうばかりか、
責任の所在も曖昧になってしまい、いいことは何一つないというのが俺の
持論である。

同様に、直接労務費もオペレーション費用に含めるべきである。タクト
タイムは稼動速度であり、それは製造能力という上限制約があるものの、
結局実際の製造数量によって決定される従属変数である。製品1個当たり
換算したとき、数量変動によって実績数値が変動するものは、すべて
オペレーション費用に含めるべきである。

なお、今回の記事は新規事業計画の立て方と銘打っているが、
経営計画も常時、ビジネスモデルについて自問自答すべきである。

貴社の業績評価は妥当ですか。
貴社の限利モデルは妥当ですか。
貴社のビジネスモデルは最適化されたものだと断言できますか。
その根拠は?

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