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事業モデル、為替、経営管理を取り上げる
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6月17日に実施された再選挙では財政緊縮派が勝利し、また、スペイン
の銀行へ1,000億ユーロ資本注入するニュースもあって、先週はそれま
での極端な円高相場がいったん収束の動きを見せた。

しかしながら、再選挙を経て発足したサマラス政権が23日、EUに公表
提示した見直し案を見て、俺は開いた口がふさがらない。
週明けの為替相場は、大幅な円高に振れるだろう。

その内容は、
・財政緊縮目標達成期限の2年先送り
・公務員15万人の削減計画の見送り
・付加価値税(VAT)の一部引き下げ
・失業者への手当給付期間を1年間から2年間に延長

である。
結局、財政赤字の建て直しは先送りしますよ、ということだ。


欧州危機は、大別すると2つに分けられる。大まかに説明すると、
住宅バブル崩壊により金融セクター危機が生じているのがスペインと
アイルランドで、放漫な国家財政によるソブリンリスクが、ギリシャ、
ポルトガル、イタリアだ。これらに融資しているのがドイツ・フランスで
あり、そこが焦げ付くと、両国に致命的なダメージが生まれ、ユーロ
そのものの通貨の信頼性が失われ、クラッシュしてしまう構造だ。

少し補足すると、スペイン・アイルランドは、銀行の不動産融資が完全
に焦げ付いており、さらに不良債権が増大している状況だ。経済規模
が大きいスペインでは、金融セクターが機能不全に陥っており、貸し渋
りが発生、経済が回らなくなりつつある。そうなるとさらに財政が悪化し、
スペイン国債が焦げ付き始める・・・という泥沼シナリオをリスクとして
市場が織り込みつつあるのが現状である。

そんな中、先週は冒頭の2つのトピックで、問題の根本原因は解決で
きないものの、しばらく一服できる・・・というのが為替相場観として適
切なのだろう。


それでは、為替が大幅な円高に振れると予想するのは何故か(インパク
ト大なスペインが収束方向なら大幅にブレないんでない?という話への
反論は)というと、今後、欧州危機の各国がギリシャよろしく国家財政
赤字が拡大し続けたことを想定、今回のギリシャ発表に対し、EUで救
済が決定されると、今後の動向次第でスペイン泥沼シナリオ時にどう対
応するのかといった話や、イタリア・ポルトガルで同様に財政悪化が拡
大した場合どうするのかといった話に発展し、結局、問題の根本解決が
見えていないよねということで、リスクをさらに拡大した形で為替織り
込みする動きがマーケットに出てくると予想するからである。言うなれば、
ギリシャ救済スキームは、欧州危機対応の試金石なのである。

これまでも、危機が再燃したら2~3ヶ月かけて対応協議が行われ、その
間は円高が続いてきていることを考えると、今回も同様になることが予
想される。

よって、盆明けから9月頃にかけては円高となり、日本国内にある輸出
企業は、ただでさえマーケットがしぼんでいる中、さらに為替で体力が
奪われるので、事業が成り立たなくなる。陳情も政府にいくことだろう。
そうなると、為替動向を注視するばかりにはいかなくなり、9月頃に
対ドルで78-80円、対ユーロで100-103円目標で日銀覆面介入が入る・・・
というのが俺の個人的な予想である。

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